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セックスの心構え

尋ねあい、伝えあいなから、ふたりで快感のポイントを探る

べッドの上では、男女ともふだん以上に繊細で気配りのあるコミュニケーションが求められます。女性が意を決して言葉にして伝えない限り、男性は気づかないままなのでしょうか?いつまでも女性の演技に騙され続けるしかないのでしょうか?

そんなことはありません。男性からも歩み寄ることはできます。そのためにマスターしてほしいのが尋ねるテクニックです。愛撫しながら「気持ちいい?」「ここかイイだろう?」と闇雲に尋ねるのは、まだまだ初心者。こんなふうに聞かれたところで、女性は「ううん、まったく気持ちよくない」とは答えにくいものです。結局、女性は「うん、イイよ」「すごく気持ちいい」と男性の愛撫を肯定する言葉しか口にできないでしょう。これでは感じているふり、イッたふりをますます助長させるだけです。

「痛くない?」は、やさしさが感じられるので悪くはないのですが、痛くはないけど気持ちよくもない、という場合も、女性はやはり「うん」と男性を肯定するでしょう。そもそも気持ちよくなるための愛撫なのに、痛くないかどうかばかりを気にすること自体、ピントがずれているように思います。

この悲しい連鎖を断ち切るため、まずは愛撫のバリエーションを用意します。例えば指で膣内を刺激するとき、指をリズミカルに出し入れする方法と、指の腹をゆっくり膣壁に押しつける方法の両方を試してみましょう。そのうえで女性に「こうするのと、こうするのとどっちがいい?」と、選択できるように尋ねるのです。そうすれば女性は遠慮することなく「こっちがいい」と選び、断言できます。

ここまでできれば、中級者にステップアップです。クリトリスを指で弾くように触れるのかいいのか、または円を描くように刺激するのかいいのか。挿入時にピストン運動を膣の奥深くでするのがいいのか、または入口近くでするのがいいのか尋ねて、答えてもらううちに、男性も女性の快感ポイントをより詳細に把握できるようになるでしょう。

その間、女性の顔を見守ることも、忘れてはいけません。ふだんの会話でも相手の真意を知りたいときは、言葉と言葉の応酬だけではなく、表情や顔色をうかがいますよね。セックスのときも同じこと。どこが気持ちよくて、どんな強さの愛撫を好むのか、答えは目の前の彼女自身にあります。さらに全身の反応や声音の変化にまで注意を払うことができるようになれば、上級者です。

女性に必要なのは伝えるテクニック。です。男性の愛撫が見当違いだったときに「そこじゃない」と伝えることも大切ですが、それだけでは男性はどうしてほしいのかわかりません。「それは違うけど、どんな愛撫がいいかはあなたが考えて、男でしょ」というのは、とても一方的で不親切。インタラクテイブ・セックスの精神に反します。

快感のポイント、気持ちよくなる触り方を上手に伝えるには、女性が自分自身の身体をよく知ることが不可決です。10年以上女性と付き合ってきて、女性は自分の身体のことをあまり知らないと実感させられる場面が多々ありました。外陰部や膣にトラブルを抱えて受診される女性は数多くいますが、「右の小陰唇にかゆみがあります」「子宮ロのあたりが痛いです」といったように、デリケートゾーンの詳細な位置や症状をうまく説明できる人はほとんどいないからです。

産婦人科の外来では、私たち医師が淡々とコミュニケーションを取りながら、その位置を割り出していくため、それでもなんとかなるでしょう。しかし、セックスとなれば別です。パートナーの男性に的確な場所を刺激してもらうためには、自分の性感帯をできるだけわかりやすく伝えたほうが確実です。さらに「もっとソフトに触ってほしい」「もうちょっとゆっくりしたスピードで刺激して」といったように、触れ方まで女性の側から伝えることができれば、もう男性が迷うことはないでしょう。的外れな愛撫は、劇的に減るに違いありません。

なかには、声に出して伝えるのは恥ずかしいという人もいるようですが、そんなシャイな女性は、カップルでマッサージをしあうときのことを思い返してみてください。同じ肌と肌が触れあう行為でも、このときは「首の付け根をもっとグイグイ押してほしいの」「親指の腹で腰のあたりを強く揉んで!」「そう!そこが気持ちいい」と具体的に伝えることができているのではありませんか?そして、そんなふうにリクエストされて立腹する男性もいないでしょう。これをセックスにも応用しましょう。マッサージのときのノリで願望を口にしてみてください。気負う必要はまったくありませんよ。

お互い尋ねあい、伝えあって、歩み寄ることこそ、インタラクティブ・セックスの基本です。誰もが感じる快感のスイッチボタンが実際には存在しないのと同じく、どんな男性でもすぐに理解できて、どんな女性でも正直に答えられる魔法のトークテクニックもありません。ふたりで顔を見あわせ、言葉と言葉を尽くして、コミュニケーションを積み重ねていきましょう。

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