不快感を上手に伝える、言葉のテクニック
べッドの上のコミュニケーションにおいて特に難しいのは、不快感を伝えることです。女性にとって「痛い」「くすぐったい」というのは、きっぱりと口に出していしにくいもの。けれど、これをうやむやにしていると、男性の勘違いが正されることはありません。女性が快感で顔をゆがめる表情と、痛さやくすぐったさをこらえている表情は、ときとしてよく似ています。「ねえ、やめて」「それはダメ」とやさしく訴えたところで、その甘い声が男性の興奮をさらに誘ってしまうというのも、よく聞く話です。
そんな勘違い愛撫を中断させるために「もう入れてほしい」と挿入を促す女性もいるようです。たしかに一時的に苦痛から解放されるかもしれませんが、男性側にしてみれば「いまの愛撫が気持ちよかったから、たまらなくなって挿入してほしくなったんだな」と誤解を深めるだけでしょう。
ここで、もうひとつの伝えるテクニックを紹介します。少しでも痛いと感じたらその瞬間に思わずといった様子で「痛ッ!」と小さく叫び、同時に顔を少しオーバーにしかめます。男性は、女性に苦痛を与えたことが瞬時にわかるため、反射的に愛撫の手を止めてくれるでしょう。くすぐったいと感じたときも思わず笑ってしまうことです。セックスの最中に笑われると、せつかくのムードが台無し。そんな愛撫を続ける男性はいません。
まずは、間違った愛撫をやめさせることが先決。女性だって、苦痛な時間は1秒でも短いほうかいいでしょう。そのうえで「ごめん、いまのはちょっと痛かったから、もう少しやさしくしてくれる?」「おへその周りは笑っちゃうから、あんまり触れないで」などと言い添えれば、男性は傷つくことなく、いままでの愛撫が間違っていたと気づくはずです。また、「そんなふうにされたら、おしっこが出そうになっちゃう」など、女性特有の生理現象に訴えるという方法も効果的です。
痛さ、くすぐったさなどの不快感は、必ずその場で伝えてください。後になって「あのとき、実は痛いのを我慢していた」「くすぐったいのを堪えていた」と伝えられても、男性はどのシーンで、自分がどのように愛撫していたのが悪かったのか思い出せないでしょう。べッドの上の問題は、べッドの上で解決すること。わだかまりを残さないほうが、お互いに楽になります。
絶対にしてはいけないのは、相手を否定することです。パートナーの身体的コンプレックスをあげつらうのはもってのほかですが、「全然よくない」「なんで感じないんだ」と愛撫や反応を否定しあうことも、お互いを傷つけるだけです。まったく生産的ではありません。
「あなたの愛撫は間違っている」「あなたって下手よね」と一方的に宣言するだけでは、パートナーは落ち込んだり気を悪くしたりすることはあっても「もっと感じてもらえるよう努力しよう!」と前向きな気持ちになることはないでしょう。
男性と女性とを比較したときに、男性のほうがパートナーを否定する言葉を口にする傾向がある、といわれています。男性は傷つくと、その影響が身体にも表れます。精神的なダメージによって勃起を維持できなくなるのです。女性はそれを本能的に知っているため、男性を否定する言葉をあまり口にしない。その一方で、男性の発言で女性の心が傷ついたとしても、それによって身体的な影響が出てセックスを中断される危険性は低いため、男性は深く考えることなく発言するという説です。この説の真偽はともかく、不用意な発言には、せっかく盛り上がったムードをおじゃんにするだけでなく、ふたりの関係に決定的なヒビを入れるほどの破壊力があります。
そうならないためには、取りつく島のない否定的な言い方はやめて、やんわりと注意を促し、パートナーが自分から改善したくなるようなひとことを加えるだけでいいのです。「いまの触れ方でも悪くないんだけど、こうしてくれたらもっと感じると思う」「すごくよかった。でも、このやり方のほうが私、乱れちゃいそう」のように、パートナーを認める言葉に、具体的に何を改善すればいいのかがわかるひとことを添えれば、その後の愛撫は驚くほど変化します。
インタラクティブ・セックスを引き寄せるのは、言葉のひと手間。これが自然に出てくるかどうかは、ふだんからふたりでコミュニケーションを取っているかとうかによるでしょう。思いやりあふれる会話を、日常のなかでも意識して取り入れてください。